アンティークキルトコレクション

17世紀、欧州から未開の地アメリカ大陸へ移住した人々にとって、当時は生きていく為の衣食住全てがこと欠く暮らしでした。厳しい寒さからみを守るため、擦り切れた布の利用できるところをつなぎ合わせ、中に動物や鳥の毛や干し草などを詰めた布団や隙間風除けのカーテンなどがアメリカのパッチワーク・キルトの原点といえましょう。開拓時代の女性にとってこのような布のリサイクルによるキルト作りは大切な家事でした。アメリカ合衆国の歴史の中でもキルト作りが活発な時期と衰退の時期が繰り返されてきていますが、建国200年を迎えた1976年頃から再び盛んとなり、キルトはベッドの上から下りて、ファブリック・アート (布芸術)としての芸術性を高めております。ここに私のコレクションのほんの一部ではありますが、18世紀末から20世紀中頃までのアメリカで制作されたキルトと、イギリスやフランスで作られたものを併せてご紹介し、現代のキルトへの変換と歴史をご理解頂ければと思います。
 
(某アンティークキルト展示会時 挨拶文より)
 

 

 
ストリングキルト・スター・バリエーション
1890年−1910年(シルク)  

 
 
シルクを当時、流行りのクレージー風にピースしたレモンスター。
この珍しいスロウは何とペアで作られていたのです。
ニューヨークの骨董屋の片隅に積まれていた二枚を発見した私は、懐具合の都合で、コンディションの良い方の一枚を選んだのです。しかし2年後、再び訪れたこの店で売れ残っていたもう一枚を見つけ、これはもう私の所へ来るべき運命と感じました。別れ別れのこの2枚は100年越しにペアに戻ったのです。老いたりとはいえ元絹素材の精巧な技術がマッチして見事は風格を保っていると思います。
 



「六角つなぎのモザイク」
1890年(シルク) 

 
六角の型紙を包んで縫いまとめ、たくさん作り、たまったところでかがり縫いでつないで作った物。 小さな絹のはぎれは六角に裁たれた様子もなく、型紙だけで形を整えてつなぐは、紙入れ方法または英国で用いられていたので英国式とも呼ばれてます。


 
「プリンセスフェザーキルト」
1890年(木綿)

 
 
この羽のデザインはインディアンの儀式の衣装から得たという説がありますが、確かに西部劇の酋長の羽飾りに似ています。 このキルトは羽のデザインをアップリケして、またキルティングに羽の柄を取り入れ、素晴らしい技術で仕上げているのは経験豊かなキルターの仕事と思われます


 
「ハワイアンキルト」1930年(木綿)

 
 
ニューイングランドの宣教師の夫人たちによってもたらされたキルト作りは、ハワイの女性たちによって見事にハワイアン・スタイルに仕上げられました。 ブレッドフルーツの木陰で縫い物をしていた女性が葉陰のシルエットからイマジネーションを得て、この2色使いのアップリケ・キルトを作ったのが始まりと伝えられております。  


アンティークキルト展での様子

 
 

「私の針仕事展」会場風景